将棋の話題 第六局
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第60回 NHK杯テレビ将棋トーナメント 決勝戦

 第60回 NHK杯テレビ将棋トーナメント 決勝戦 羽生善治NHK杯 対 糸谷哲郎五段の対局は大熱戦の末、羽生NHK杯の3期連続9度目の優勝(史上最多)で幕を下ろした。マイボナで棋譜を解析してみると序盤は羽生NHK杯がリードするものの、中盤に入ると糸谷五段が盛り返し互角の戦いに持ち込んだ感じである。その後再び羽生NHK杯が優勢に転じるが糸谷五段も何とか持ち堪え終盤に突入する。終盤に入ると羽生NHK杯が一気に優勢から勝勢に持ち込み勝利を手にした様子が窺える。

第60回 NHK杯テレビ将棋トーナメント 決勝戦 棋譜
http://cgi2.nhk.or.jp/goshogi/kifu/sgs.cgi?d=20110327

nhk110327_01.jpg

 先手の序盤のリードがどのように失われて行ったのかを50手目あたりからGPS将棋で検討してみた。下図は後手が50手目△3五歩と角頭を狙って歩を突き出した局面であるが、GPS将棋の形勢判断によると何とこの局面では▲3五同歩と応ずれば評価値+1058、先手が優勢だという事である。

51手目▲7四歩におけるGPS将棋の候補手は、
[1058]  ▲3五歩(36)△3六歩打▲1五角(37)△1四歩(13)▲3三角成(15)△同金(32)▲3四銀打△3二金(33)▲2四歩(25)△3七歩成(36)▲同桂(29)△2四歩(23)

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50手目△3五歩まで

 実戦は上図から▲7四歩△3六歩▲4六角△4五歩▲7三歩成△4六歩▲2四歩△同 歩▲6二と と進むが、このあたりは随分先手が損をしたようだ。この後4七の地点に「と金」を作られたのが痛い。下記の検討の結果を見ると、このあたりの応酬で先手の評価値(検討する毎に値は異なる)がどんどん下がって行くのがわかる。

53手目▲4六角におけるGPS将棋の候補手は、
[951]  ▲7三角成(37)△同金(62)▲同歩成(74)△同桂(81)▲5三金打△8二飛(42)▲2四歩(25)△同歩(23)▲6三金(53)△3七歩成(36)▲同桂(29)△3六歩打▲7三金(63)

55手目▲7三歩成におけるGPS将棋の候補手は、
[676]  ▲7三角成(46)△同金(62)▲同歩成(74)△同桂(81)▲5三金打△4一飛(42)▲5二金(53)△8一飛(41)▲4一銀打△7五歩打▲同銀(66)△5五角打▲4六歩(47)

57手目▲2四歩におけるGPS将棋の候補手は、
[170]  ▲6二と(73)△4七歩成(46)▲5三金打△4五飛(42)▲5六金(67)△3五飛(45)▲4三銀打△3七歩成(36)▲6八飛(28)△3八と(37)▲6三と(62)△2九と(38)

 このあと再び先手がポイントを重ねて優勢になりそのまま押し切るかと思われた下図84手目の局面。実戦では△4二と と指されたが、ここは▲2三歩と玉頭を叩く手の方が決め手になったか。

85手目▲4二とにおけるGPS将棋の候補手は、
[959]  ▲2三歩打△同玉(22)▲2一龍(41)△2二金(32)▲1一龍(21)△6九銀打▲7九金(78)△6八角打▲1五桂打△1四玉(23)▲6八飛(67)△同と(58)▲4七角打△1五玉(14)▲6九金(79)△同と(68)▲同角(47)

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84手目△4四同銀まで

 その後糸谷五段も粘ったが羽生NHK杯は着実な寄せで相手を追い詰めて行った。羽生NHK杯が一度も劣勢になることのない完勝譜であったと言えよう。

 余談ではあるがベスト4が前期と同じ顔ぶれで決勝戦も同じカードで優勝者も同一というのは珍し過ぎる。
2011/03/28
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