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| 将棋の話題 第十一局 |
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| 第16回コンピュータ将棋オープン戦 |
2011年4月9日(土)に開催された第16回コンピュータ将棋オープン戦では、４人と９つのソフトが参加をし熱戦を繰り広げた。対戦はスイス式4回戦トーナメントで行われ、初出場の「大将軍」が４連勝し見事に優勝を飾った。
第16回コンピュータ将棋オープン戦
http://www.computer-shogi.org/open/open16.html
棋譜
http://homepage.mac.com/junichi_takada/open16/
下記は「大将軍」の４つの対戦をそれぞれマイボナで解析した結果のグラフである。ponanza戦では100〜120手目あたりでかなり苦戦を強いられたものの、その後大逆転の末勝利を収めた様子が窺える。残りの３つの対戦は徐々に形勢を拡げながらそのまま勝ちを収めた見事なまでの完勝譜である。疑問手らしい疑問手を出す事無くそのまま押し切ったという印象で、恐ろしいくらいの強さを秘めている物と思って間違いないだろう。
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１回戦 対Sunfish戦
２回戦 対ponanza戦
３回戦 対GPS戦
４回戦 対今泉健司戦 |
今回は２回戦 対ponanza戦に注目してみた。マイボナの解析では100〜120手目あたりは「大将軍」が苦戦を強いられた様子だが、GPS将棋で124手目を検討してみても同じような形勢判断がなされた。下図は123手目▲２四桂までの局面である。この局面での124手目の候補手は△７九銀でponanza側の評価値は+1560。つまり「大将軍」がかなりの劣勢であると判断された。
[1560]
△７九銀打▲９八玉(88)△５二歩打▲１二銀打△２二玉(23)▲１三桂打△２四銀(33)▲同歩(25)△１二玉(22)▲２三銀打△同金(32)▲同歩成(24)△同玉(12)▲２一桂成(13)△１二玉(23)▲１一金打△２三玉(12)
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123手目▲２四桂まで
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実戦は上図の局面から△７九角▲９八玉△１三銀と進んだ。下図はその126手目△１三銀までの局面である。この局面をやはりGPS将棋で検討してみると。
[2496]
▲１二銀打△２二玉(23)▲１四桂打△同銀(13)▲同歩(15)△８六桂打▲同歩(87)△２四銀(33)▲２三銀打△同金(32)▲同銀成(12)△１一玉(22)▲２四歩(25)△８七銀打▲同玉(98)△８六歩(85)▲同玉(87)△６八角成(79)▲７五玉(86)△２四馬(68)▲同成銀(23)
この局面では127手目の候補手は▲１二銀で先手の評価値は+2496。つまり「大将軍」の方が優勢となり大逆転しているようである。124手目△７九角か126手目△１三銀、またはその両方が悪手であった可能性が高い。
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126手目△１三銀まで |
詳しく検討してみるとどうやら上図の126手目△１三銀が大悪手で△５二歩が正解であったようである。
[1303]
△５二歩打▲１二銀打△２二玉(23)▲１四桂打△３一玉(22)▲３二桂成(24)△同飛(42)▲２三金打△１二飛(32)▲同金(23)△４二玉(31)▲２二桂成(14)△５三金(43)▲７八金打△６八香成(67)▲７九金(78)
しかし一手一手細かく最善の候補手を進めて行くと126手目から△５二歩▲１二銀△２二玉とすすむようであるが、この局面(下図)を再度検討してみると次の候補手は▲１三桂で先手の評価値は+650。何と先手の方が少し良いという結果になってしまうのだ。
[650]
▲１三桂打△２四銀(33)▲２一桂成(13)△１二玉(22)▲１一金打△１三玉(12)▲２四歩(25)△４五龍(48)▲２五銀打△２二桂打▲７八金(68)△２四角成(79)▲同銀(25)△同玉(13)▲２五歩打△２三玉(24)▲２四桂打
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変化図△２二玉まで |
果たして123手目▲２四桂の局面はボナンザやGPS将棋の形勢判断通り後手が有利なのであろうか。この対戦をマイボナで解析したグラフを見ると2007年３月21日の渡辺明竜王vsボナンザ戦を思い出してしまう。あの対戦も89手目以降ボナンザは自分が有利だと判断していたが実はそうではなかった。局面が進むにつれて自分の劣勢に気付きやがて投了に至った。ひょっとしたら「大将軍」はずっと自分の方が有利だと思って指し手を進めていたのかも知れない。 |
| 2011/04/16 |
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