将棋の話題 第十二局
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第69期名人戦七番勝負第2局 

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 浜松市中区の浜松市茶室松韻亭で20日から行われた第69期名人戦七番勝負の第2局は21日午後4時28分、68手で挑戦者の森内俊之九段が羽生善治名人を破り2連勝した。

 下記はマイボナでの解析結果のグラフであるが、まだまだ羽生名人も戦えそうな局面から潔く投了した結果が窺える。短手数ではあるが中身の濃い見ごたえのある将棋であった。

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 下図はその投了図で後手の森内九段が68手目△2二玉と指したのを見て先手の羽生名人が投了した。下図の局面からGPS将棋同士で戦わせてみたが、詰みまでには色々な枝別れの道があり手数が掛かった。仮に後手の森内九段と代わって対局を続けても、ここから羽生名人に勝てるアマチュアは数少ないであろう。それほど羽生名人が潔く投げた感じがする。

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投了図は68手目△2二玉まで

 下図は羽生名人の47手目▲6二成銀までの局面である。この局面をGPS将棋で検討してみると48手目の候補手は△3一玉で後手の評価値は+157。つまり後手の森内九段が△3一玉と逃げて後手が少し良いという判断である。

[157]  △3一玉(41)▲5二成銀(62)△2二玉(31)▲5三角成(71)△同馬(54)▲同成銀(52)△4七角打▲5八歩打△3九飛打▲6八玉(59)△5六銀打▲同金(67)△同角成(47)▲7八銀打

 ところがここで森内九段から控室の検討陣も予想しなかった驚愕の一手が放たれる。

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47手目▲6二成銀まで

 上図の局面から森内九段の放った手は次に飛車打ちが見えている危険な△5三金。BS放送の解説ではこの手が絶賛されていた。実戦は△5三金▲5一飛△4二玉と進み羽生名人は51手目▲8二角成と指したがここでは下記のような変化はなかっただろうか。

51手目からの変化
▲2一飛成△3一飛▲同龍△同玉▲5一飛△2二玉▲5二成銀△4三金寄(変下図1)

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変下図1は△4三金寄まで

 変下図1の局面からは▲5三成銀があるので先手も結構指せると思う。もしそうだとするなら△5三金は勝負を決した一手とは言えないであろう。遡って47手目▲6二成銀までの局面からGPS将棋の候補手△3一玉の早逃げはどうであっただろうか。詳しく検討して行くと下記のような変化が考えられる。

48手目からの変化
△3一玉▲5二成銀△2二玉▲5三角成△同馬▲同成銀△4七角(変下図2)

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変下図2は△4七角まで

 変下図2の局面からは▲6八玉と逃げて互角の戦いか?もし変下図1の局面も変下図2の局面もほぼ互角の形勢であるのなら、△5三金は勝負を決した一手とは言えないであろうし、プロの対戦でまた再び同じ局面が現れないとも限らないであろう。
2011/04/24
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